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アニメ 「プラネテス」 監督:谷口悟朗 星2つ

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プラネテス
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1. プラネテス

幸村誠さん原作の漫画をサンライズがアニメ化した作品。サンライズといえば「ガンダム」シリーズが有名ですが、同じ宇宙を舞台にしていても激しいロボットバトルではなく、リアル志向のお仕事アニメになっています。幸村さんは現在連載中の「ヴィンランド・サガ」で有名ですが、その硬派な作風はこの「プラネテス」にも表れています。監督の谷口悟朗さんは「コードギアス 反逆のルルーシュ」が代表作として知られているのではないでしょうか。コードギアスのようなぶっ飛びエンターテイメントから本作のような堅いヒューマンドラマまで作風の広さが伺えます。

コードギアス 反逆のルルーシュ
「コードギアス 反逆のルルーシュ」の記事一覧です。

感想としては、なにもかも「普通」で、捻りがなさすぎるのではないかと思いました。2003~2004年にかけて放送された作品なので、当時としても凡庸だったのではないかと感じます。「ハルヒ」以前ではありますが、「エヴァ」以降ではあり、ただ分かりやすいだけのストーリーが受け入れられる環境は過去のものになっていたはずです。人が抱える割り切れなさ、単純ではない社会を、それに相応しい手法で描かなければならない、という前提に立つ段階まで日本アニメの脚本レベルは求められていたはずです。

2. あらすじ

宇宙開発が進んだ近未来の宇宙。人類は宇宙の資源開発を進めており、月には常設の有人施設が置かれるまでになっていた。

しかし、同時に社会問題になっていたのがスペースデブリ(=宇宙に浮かぶゴミ)。例えネジ一本であっても、宇宙を進む船たちの速度を考えれば衝突が大惨事を生むことも珍しくない。

そんな中、宇宙コングロマリットであるテクノ―ラ社にはデブリ回収を専門に行う「デブリ課」が存在していた。社会問題になっているとはいえ、デブリの回収はほとんど収益を生まないので鼻つまみ者の部署。そこで働いているのが星野八郎太、通称ハチマキ。そして、デブリ課に配属となった新入社員、田名部愛。

将来は宇宙船を持つ、そんな夢を心の中に抱きながらも、変わらない日々に慣れきってしまっていたハチマキ。そんな彼の日常が直情的で正義感の強い田名部との出会いで変わっていく。

働くとは何か、生きるとは何か。デブリ回収にかける熱意から、先進国と発展途上国のあいだに広がる不条理な格差と人々の葛藤まで。「宇宙」の時代になっても変わらない人間の生活と社会を描く。

3.感想

凡庸な「いい話」集になってしまっているんですよね。登場人物が出揃って、舞台の概要が分かってくればもう何が起こるか予想できてしまって、その通りにしかならい作品。

まだまだ若いのに大企業の窓際部署で腐っているハチマキ。そこに若い女性の新人が現れ、生意気な正論を言う。ハチマキは彼女に「現実」を教えながらも心を刺激されていき、最後は木星探査船乗組員試験に応募し、見事合格して7年間の木星往還の旅に出る。ついでにその新入社員とも結婚する。しかも、この田名部という新入社員がまた男性に都合良く設定されていて、ピンポイントに優しく励ましてくれたり叱咤してくれたりして、なぜかハチマキのことをずっと気にかけていて、ひどいことを言っても追いかけてきてくれる。さすがにヒロインがファンタジー過ぎてついていけません。「リアルな宇宙お仕事もの」を看板にしているのですからこれでは台無しです。

重要な脇役も同様で、大国に虐げられている発展途上国出身のエリート女性が先進国大企業や「先進国クラブ」と評される世界連合に不審を募らせていってテロ組織に参加したり、逆に世界連合議長の次男が絵に描いたような我儘坊々だったりと、50年前の物語か下手な児童向け絵本を見ているのかと思わされるくらい捻りがありません。窓際族の親父たちも、貧困層上がりの派遣社員も、玉の輿を狙うお気楽OLも、大企業の狸な重役たちも、全てテンプレートの寄せ集めであり、テンプレート通りにしか動かないのです。人類初の月生まれ月育ちの12歳の女の子をあまりに純真無垢に描きすぎるのは気持ち悪いくらいです。あの人物の意外な背景...のような展開もいくつか試みられるのですが、「またこのパターンか」と思わされてばかり。

「デブリ回収」という近未来のブルーカラー労働に、題材として期待を寄せていただけに、かなり失望したのが正直なところです。

ただ、それ以外に明確にどこが悪いかと言わればそういった点もないんですよね。ゆえに、当ブログの評価基準に忠実なまま、全てが凡庸な物語には星2つをつけることにします。

☆☆(映画/アニメ)プラネテス
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明日も物語に魅せられて

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